アトピー歴.1 赤ん坊のときからあとぷう
赤ん坊のときからアトピーでした。
もちろん自分自身では覚えていないけれど、親の話によると、まだ人間というよりイモムシ状態の時代に、ベッドをずるずるはい上がって、かゆい部分をマクラにゴシゴシこすりつけて、間接的にカキカキしていたようです。
赤ん坊なので手が短くて(または自由にならなくて)、そんな行動になるわけですが、それを見ていた親は、「まあ、こんなに小さいのに、頭をつかっているわ」と、妙に感動したそうです。
というわけで、赤ん坊のときからアトピーでした。
でも、いま、幼年~学童期を客観的に振り返るに、まあそんなにひどい状態、ってわけではなかったと思います。
写真で見る分にはまったくわかりません。湿疹ができる部分も体のごく一部に限られていました。
お決まりの「両肘の内側」、「両ひざの内側」、そして、夏場には「首の後ろ」、と、その程度です。
長袖の季節には、自分のアトピーを気にせずのびのびふるまうことができました。
病院へも行ったことがあるような、ないような…。そんな程度でした。
そんな程度です、と、あっさり書きました。
人は、自分の経験を基準にしか物事を判断できません。
だから、その後大変な思いをした現在のわたしには、「子ども時代の状態なんて全然たいしたことなかった!」といえるのですが、当時のわたしには、それはそれで大変なコンプレックスでした。
友達の、すべすべつるつるの肘の内側が、どれほどうらやましかったことか…!
ただのふつうの肘がうらやましい、なんて、およそふつうの人には思いもよらないことだと思います。でも、すごくうらやましかった…!
子ども時代のわたしは、人前で自分の肘の内側を気にせずふるまえる長袖の季節が大好きで、いつも肘をさりげなく曲げて隠しておかなければならない半袖の季節がニガテでした。
特にいつも左肘がひどかったので、人前で腕を伸ばすのは右手が基本でした。
子どものわたしが自分の肌の状態をこんなに気にしていたなんて、両親は知らなかったと思います。
遠くの物を取るときは、必ず右手を伸ばしていたなんて…。
アトピーは自分にとってコンプレックスでしたが、「アトピーを気にしている」、ということを気取られるのもイヤでした。
要するに、「自分がアトピーである」事実そのものが、いやだったのです。