アトピー歴.4 病院めぐり
高2の夏休み前に肌の調子が悪化したわたしは、病院に通いだします。
それまでも、何回か病院に行ったことはありましたが、「中学生になったら治りますよ」「青魚は食べないように」などといわれて(←昔はよくこういわれていた)、終わり、ということがほとんどでした。
でも、明らかにひどい状態になり(それまでは肘と膝の裏程度だったのが、腕や、背中や、首などにも広がり)、母が、「アトピー名医」みたいな本で、「腕利き」と評判の(と本に書いてある)お医者さんを探してくれました。
今のように、インターネットに情報があふれている時代ではありませんでした。
最初に、電車に乗って行ったのは、漢方を処方してくれる先生。
17才のわたしが、「とつぜん、こんなにひどくなっちゃったんです。こんなこと、今までなかったんです、ホントです。なのに、どうしてでしょう?」と切々訴えたら、「うんうん、そういうことってあるよね」って、うなずいていました。
うんうん、そういうことってある。
今ならわかります。
先生としても、それしかいいようがないと思います。
でも、そのときのわたしは子どもだったから、明快な答えがほしかった。
「これが原因だよ」「これを取りのぞけば治るよ」みたいな。
だって、なにごとにも原因があるはずでしょう? (と思っていました)
結局、その病院では5種類くらいの軟膏を手に入れました。飲み薬はなし。
「(人によって効くのが違うから)効くのをつかってね」とのことでした。
5つとも、病院の薬局でプラスチックのケースにつめかえたもので、ステロイド薬はありませんでした。
そのうち1つはワセリン、1つは紫根の軟膏だったと思います。
紫根の軟膏は、独特なにおいが好きでした。
でも、残念ながら、5つの軟膏のどれも効いた気がしませんでした。
甘いものを絶ち(砂糖やめました)、きちんとした食生活をし(昨今はやりの‘マクロビ生活’。当時はマイナーでした)、病院からもらってきた薬をぬれば、きっと治るはず!
そう信じて、食生活を変え、薬を塗りましたが、ちっとも事態は変わらないように思えました。
さらに悪化はないものの、下げ止まり、といった感じ……。
今ならもう少し時間をかけて様子を見られたと思いますが(何しろ、まだひと月くらいしか経っていない!)、17才にとっての時間の流れ方は、三十を過ぎた大人とはぜんぜんちがいます。
親と相談して、わたしは、また電車に乗って、有名大学病院に行きました。
そこでは塗り薬は出ず、カプセル薬と、(その薬は胃が荒れるとのことで)胃を保護するための散薬が出ました。
カプセルの薬は、たぶん抗生物質だったのではないかと思います。
とてもよく効きました。
アトピーはキレイさっぱりどこかへ消えて、ほんとうにうれしかったです。
ただ…、薬があまりにきつすぎて、飲むと気持ちが悪くなるのが欠点でした。
処方された2週間分の薬を飲まないうちにきれいに治ってしまったので、わたしは病院通いをやめます。
ところが、半年後くらいにまた再燃…。
大学病院の薬はよく効きましたが、きつすぎたことに不信感もあって、再受診はせず、今度は近所の医者に行くことにしました。
まったく、1回の受診で病院を変えてばかりの、典型的なダメダメ患者です。が……、この3か所目の医院は長く通うことになります。