アトピー歴.5 結局、人は信じたいものを信じる
近所の医院へは、高2~大学4年くらいまで通いました。
ちなみに、ここも「アトピー名医」みたいな本にのっていたお医者さんでした。
近所に名医がいるなら、そこに通うにこしたことありません。
しかし、こういう「名医」の本というのは、どうやって作られるのでしょう?
名医のラインアップはどのようにして……?
当時は、そんなこと考えたこともありませんでした。
そこで受けた治療は、体質改善なる注射、処方された薬は抗ヒスタミン剤と、ビタミン剤、塗り薬は亜鉛華軟膏でした。
「体質改善」という言葉は、慢性疾患をかかえた患者にとって、なんとも甘美な響きです。
注射を打つくらいで長年悩まされてきたアトピーやら喘息やらとバイバイできるなら、そんなに簡単なことはありません。
心の奥底では「…そんなうまい話があるはずがない(だって赤ん坊のときからこの体質とつきあってきたのに…)」と思いつつも、もしそんなうまい話があるのなら、ぜひのりたい…とも思いました。
結局、人は信じたいものを信じるのかもしれません。
注射は(確か)10回セットでした。
ステロイドだったと思います。
今は、よっぽど重症でない限り、ステロイドの注射をすることもないと思いますが、そのお医者さんでは、そのような治療をしていました。
セットなので、その前の2つの病院とは違い、ドロップアウトせず毎週きちんと通いました。
注射は効きました!
飲み薬の抗ヒスタミン剤も効きました!
亜鉛華軟膏には効力をまったく感じませんでしたが、注射や薬で治るので、問題なしでした。
そう、治ればなんでもいいんです。
ステロイドの注射に若干の不安を覚えたのも確かです。
でも、わたしは高校生でしたし、お医者さんが、「この治療法には、なんの疑問の余地もない」といったふうだったので、あえて副作用についてたずねることもしませんでした。
なにより、わたし自身が、その治療法が正解であってほしい! と願っていました。
毎日、つるつるの肌で、楽しく過ごせれば、それでいいんです。
高校生なんて、そんなものです。
ガマンしていた甘いものも、ジャンクフードも、食べられるようになりました。
「体質改善」の注射は、10回終えたところでは効果がありましたが、しばらくすると、効果が消えてしまいました。
そもそも、10回くらいの注射で体質が変わるわけがありません。
それで、注射はなしでしたが、その後も病院にせっせと通って、抗ヒスタミン剤、ビタミン剤、亜鉛華軟膏のセットを受け取っていました。
この状態が4年くらい続きます。