あとぷうの日記

重症アトピーでした。脱ステ+脱保湿+食生活で治しました。参考になればです!

アトピー歴.7 ステロイドってスゴイ!

それまでよく効いていたはずの飲み薬(抗ヒスタミン剤)がちっとも効かなくなって、亜鉛華軟膏は気休めでしかなく、わたしは途方に暮れて……いや、というより、どうしようどうしよう……! と泣きたい気持ちでした。

大学に行くのもいや、友達に会うのもいや。

でも、サークルの中で責任のある学年であったことや、友達の輪には入っていたい(ひどい顔を見られるのはいやだけれど、みんなと遊んでいると楽しいし、一緒にいたい…)など、いろいろな思いがあって、大学やサークルに通っていました。

 

顔は熱をもって真っ赤に腫れ、幾日たってもよくなる気配もありませんでした。

朝、目覚めて、鏡をのぞくたびに、床にめりこむような深いため息をついていました。

 

わたしの家は、母親がマクロビや自然食に取り組むような家庭でしたが(もちろん、わたしの体質があったためです)、病院に通い、薬を飲ようになると、アトピーの症状がおさえられたこともあって、わたしの食生活は乱れ気味でした。

外食、清涼飲料水、ジャンクフード、甘いお菓子……。

 

それで、わたしは反省し、少し節制した生活をするようになります。

甘いものは食べません。

ジャンクフードもやめました。

でも、少しばかりストイックな食生活にしたからって、すぐに変化があらわれるわけもありません。

わたしは、遠くから見ても、すぐそれとわかるくらい、真っ赤な顔をしていました。

 

耐えかねて、わたしは通っていた病院の先生に相談します。

そこで新たに処方されたのは、ステロイドの塗り薬でした。

強さのランクは不明です。「標準治療」なんていう基準ができる前の時代でした。プロトピックなる薬もない前でした。

 

ステロイドの塗り薬を顔にぬるのはマズイのでは…?」と、わたしが聞いたところ、先生は「大丈夫」と答えました。

この、「大丈夫」が「短期間なら大丈夫」だったか、「少しなら大丈夫」だったかは覚えていません。

ただ、真っ赤になった顔に、「これを塗りなさい」と、ステロイドの塗り薬を処方されたのは事実です。

 

ステロイドの薬はマズイ…、特に顔に塗るのはかなりマズイ…というのは、当時のアトピー患者に、なんとなく浸透していた考え方でした。

先生に「大丈夫」といわれても、「顔に塗るのはやっぱりマズイのでは…」と、気持ちがゆれていたわたしでしたが、真っ赤な顔をどうにかしたい、というのと、人目を気にする年頃というのもあって、試しにちょっと塗ってみることにしました。

 

こわいので、ほんのちょっと、眉間のあたり、両頬の上あたりに、ちょっちょっと薄く塗りつけただけです。

まんべんなく塗り広げる、なんてことはしませんでした。

真っ赤に腫れた顔を鏡にうつし、ほんのちょっと、まるでおまじないみたいに、三か所くらい指先でちょっちょっ。

一昔以上前のことなのに、そのときのことは、今でもはっきり覚えています。

 

ステロイドの塗り薬をちょっちょっ、と塗って、そのあと、なにか片づけとか、テレビを見るとかしていたときでした。

たぶん…、薬を塗ってから10分と経っていなかったと思います。

 

なんか、「あれっ」と思ったのです。

いつも熱をもって、じっとりと重たい感じだった顔が、ふっと軽い感じがしたのです。

期待に心臓がドキンをはねました。

そして、鏡をバッとのぞくと、白くすべすべの顔がうつっていました。

あんなに驚いたことってありませんでした。

眉間のあたりに、うっすらはげた薄皮があって、それを指先でサッと軽く払うときれいに落ちてしまい、あとはみごとに生まれ変わったみたいに、きれいな皮膚でした。

薬を塗ったのは部分的だったのにもかかわらず、顔全体ほてりもなにもなく、一瞬で、真っ赤な風船から、真っ白でつるつるになったのです。

ホントのホントに魔法みたいでした。

 

もう、うれしすぎて、思わず一人で歌って、踊っちゃいました。

それくらいうれしかったのです。

その後、ステロイドとはお別れすることになりますが、このときの、自分で自分を抱きしめちゃうような感激は、今も忘れられません。